2026.09.03
親知らずの埋伏歯、抜歯は必要?当院の実績と判断基準を紹介

「親知らずがまだ骨の中に埋まっていると言われたけれど、抜歯した方がいいの?」というご相談を、当院ではよくお受けします。埋伏歯(まいふくし・埋没歯とも呼ばれます)は、痛みが出ていなくても将来的にトラブルの原因になることがあり、判断には専門的な画像診断が欠かせません。この記事では、埋伏歯の基礎知識から当院のCT診断・抜歯実績まで、口腔外科の視点で分かりやすくご紹介します。
埋伏歯(埋没歯)とは、骨や歯ぐきに完全に埋まって生えてこない親知らずのことです

埋伏歯とは、歯そのものは顎の骨の中に存在するのに、歯ぐきの外まで出てこない状態の歯を指します。特に親知らず(智歯)は一番奥に生えてくる歯であるため萌出スペースが不足しやすく、埋伏歯になる頻度が高いことが知られています。永久歯では乳歯に比べ、萌出に関連した異常がおこることが多く、歯があるのに顎骨のなかに埋まったままで萌出しない埋伏歯の場合も少なくありません。とくに智歯では、埋伏歯である場合の頻度が高く、しばしば抜歯の必要があります[1]。
水平埋伏歯・垂直埋伏歯・半埋伏歯の違いで抜歯の難易度が変わります
埋伏歯は生え方によっていくつかのタイプに分けられます。
| タイプ | 状態 | 抜歯の傾向 |
|---|---|---|
| 垂直埋伏 | まっすぐな向きのまま骨の中に埋まっている | 比較的抜歯しやすい |
| 水平埋伏 | 横向きに倒れた状態で埋まっている | 歯を分割するなど処置が複雑になりやすい |
| 半埋伏 | 歯の一部だけ歯ぐきから出ている | 汚れがたまりやすく炎症を起こしやすい |
下顎の智歯ではたとえ萌出しても傾斜したり、水平位に半分埋伏したりすることはよく知られています[1]。
埋伏歯を放置すると智歯周囲炎や隣接歯のむし歯につながることがあります
智歯の傾斜や水平位の半埋伏は、第二大臼歯の後ろの面を不潔にし、放置すると深部にう蝕をつくります。また、智歯のまわりは不潔になりやすく、しばしば炎症をおこします。これが智歯周囲炎と呼ばれる状態で、繰り返し腫れや痛みを起こす方も少なくありません。
症状がなくても定期的な経過観察が必要な場合があります
現時点で痛みがなくても、埋伏歯の位置や向きによっては将来トラブルにつながる可能性があります。当院では親知らずの状態を確認したうえで、抜歯が望ましいケースと、経過観察で問題ないケースを分けてご案内しています。ご自身の親知らずがどちらに当てはまるか気になる方は、親知らずの抜歯のページもあわせてご覧ください。
抜歯が必要かどうかはCT画像で神経・骨との位置関係を確認して判断します

埋伏歯の抜歯が必要かどうかは、症状の有無だけでなく、レントゲンやCTで確認できる歯の向き・深さ・神経との距離を総合して判断します。特に下顎の埋伏歯は神経が近接していることが多く、平面的なレントゲンだけでは正確な位置関係を把握しきれない場合があります。
パノラマX線だけでは分からない下顎管との近接をCTで立体的に確認します
下顎の骨の中には下歯槽神経という太い神経が通っており、埋伏歯の根がこの神経の近くにあることも珍しくありません。短時間に安全に下顎埋伏智歯抜歯を行うのは困難なことではありませんが、非常に難しい症例もあり、一般的な下顎水平埋伏智歯であればおおよそ15~20分くらいで抜歯を行うことができます[2]。ただし神経との位置関係が複雑な場合は、事前の精査がより重要になります。下顎の親知らずの抜歯では、抜歯後の抜歯窩や周囲組織を十分に洗浄し、切開部分を縫合して手術を終えるという流れが基本となりますが、下顎管の近接が確認された場合にはCTを用いて根尖との位置関係を精査することが行われます。当院でも必要に応じてCTを用いた診断を行い、神経との距離を立体的に確認したうえで抜歯の計画を立てています。
抜歯を検討する主な基準(炎症・隣接歯への影響・矯正治療上の必要性など)
一般的に、次のような状態がみられる埋伏歯は抜歯の対象となりやすいとされています。
- 智歯周囲炎による腫れ・痛みを繰り返している
- 隣の歯(第二大臼歯)にむし歯や歯周病のリスクを与えている
- 歯並びや矯正治療に影響を及ぼす可能性がある
- 将来的に嚢胞(のうほう)など病変ができるリスクがある
抜かずに経過観察する選択肢もあります
すべての埋伏歯が抜歯の対象になるわけではありません。骨の奥深くにあり、周囲への影響が少なく、症状も出ていない場合は、定期的なレントゲン確認を続けながら経過をみることもあります。判断に迷う場合は、口腔外科の診療経験がある歯科医師にご相談いただくことをおすすめします。
当院は累計1,009件・難症例503件の親知らず抜歯実績があります

当院では2025年度までの累計で親知らずの抜歯を1,009件手がけており、そのうち埋伏歯などの難症例は503件にのぼります。埋伏歯の抜歯は症例ごとに難易度が大きく異なるため、経験の蓄積が診断や処置の判断材料になります。
口腔外科分野の経験を持つ歯科医師が在籍し、CTを用いた診断を行っています
当院には口腔外科分野で経験を持つ歯科医師が在籍しており、必要に応じてCTを用いた診断を行っています。口腔外科を担当する柏俣玲於奈医師は、埼玉医科大学総合医療センター歯科口腔外科での研修や、さいたま市立病院・埼玉医科大学病院での勤務を経て当院に在籍しており、難易度の高い症例にも対応してきました。ドクターの経歴についてはドクター紹介のページでもご確認いただけます。
埋伏歯は骨を極力削らない処置を心がけ、体への負担軽減に努めています
当院では、抜歯前に麻酔がしっかり効いていることを確認してから処置を始め、麻酔時の不快感にも配慮しています。また、骨に埋まった埋伏歯については、極力骨を削らない処置を行い、体への侵襲を減らすよう努めています。抜歯に時間がかかってしまう代表的な理由がいくつかあり、それらに注意するだけで手術は安全にかつ早くなるとされており、当院でも処置の手順を丁寧に確認しながら進めています。
他院で抜歯を断られた方のセカンドオピニオンにも対応しています
「他院でCTが必要と言われたが詳しい説明がなかった」「難しい症例だからと紹介状を渡された」という方からのご相談もお受けしています。当院ではセカンドオピニオンとしての受診にも対応しており、CT画像をもとに現在の状態や抜歯の見通しをご説明しています。
抜歯当日の流れと術後の経過、費用の目安を知っておきましょう

埋伏歯の抜歯は、通常の抜歯に比べて歯ぐきの切開や骨の一部除去を伴うことがあるため、事前に流れを知っておくと不安が和らぎます。ここでは当日の流れと術後の一般的な経過、費用の目安についてご紹介します。
抜歯前は麻酔の効きを確認してから処置を始めます
当院では、抜歯を始める前に麻酔がしっかり効いているかを確認してから処置に入ります。下顎の親知らずの抜歯は、まず周囲の歯肉に局所麻酔を行い、歯を覆っている歯肉を切開して、歯のまわりの歯槽骨を削除し、歯冠と歯根の境目を切断してから歯冠・歯根を取り除くという流れで進められます。当院でもこの基本的な流れに沿って処置を行っています。
不安が強い方には静脈内鎮静法という選択肢があります
埋伏歯の抜歯に不安を感じる方には、静脈内鎮静法という選択肢もあります。当院には静脈内鎮静を担当する坂田泰彦医師が在籍しており、日本歯科麻酔学会の認定医資格を持っています。緊張が強い方は事前にご相談ください。
抜歯後の腫れ・痛みの経過と費用の目安
埋伏歯の抜歯後は、数日程度、頬の腫れや違和感が出ることがあります。個人差はありますが、多くの場合は数日のうちに落ち着いていきます。費用は保険診療が適用され、抜歯の難易度によって窓口負担が変わります。おおまかな目安は以下の通りです。
| 埋伏の状態 | 処置の傾向 | 通院回数の目安 |
|---|---|---|
| 半埋伏歯 | 部分的な切開で対応できることが多い | 抜歯+消毒で数回 |
| 水平埋伏歯 | 歯を分割して取り除くことが多い | 抜歯+経過確認で複数回 |
| 完全埋伏歯 | 骨の削除量が増える場合がある | 抜歯+術後管理で複数回 |
費用の詳細は症例によって異なるため、料金・お支払いのページや診察時の説明でご確認いただくことをおすすめします。
まとめ
- 埋伏歯とは骨や歯ぐきに完全に埋まって生えてこない親知らずのことで、埋伏歯である場合の頻度が高く、しばしば抜歯の必要があるとされています
- 水平埋伏歯・半埋伏歯など生え方のタイプによって抜歯の難易度が変わり、放置すると智歯周囲炎や隣接歯のむし歯につながることがあります
- 抜歯が必要かどうかは、CT画像で下顎管などの神経との位置関係を確認したうえで判断することが重要です
- 当院は累計1,009件・うち難症例503件の親知らず抜歯実績があり、口腔外科の経験を持つ歯科医師とCT診断による判断を行っています
- 抜歯前の麻酔確認、骨を極力削らない配慮、静脈内鎮静法など、不安を和らげる体制を整えています
埋伏歯の親知らずでお悩みの方、他院で抜歯を勧められたが不安な方は、CT診断を行う当院までご相談ください。難症例に対応してきた実績があります。さいたま新都心アティラ歯科ビバホーム医院は、スーパービバホームさいたま新都心店3Fにあり、土日祝も診療しています。まずは初めての方へ(初診の流れ)をご覧のうえ、お気軽にご相談ください。
参考文献
[1] 日本口腔外科学会「歯および歯周疾患|口腔外科相談室」jsoms.or.jp
[2] 長崎大学病院 口腔外科「医療従事者の方へ:口腔外科手術の基本的手技(下顎埋伏智歯抜歯)」de.nagasaki-u.ac.jp
